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猫背的事務員musaのゆる~い読書記録

仙台在住musaの、大好きな読書と本にまつわる日々の記録です

【読了】「無私の日本人」磯田道史

 エスパル仙台(仙台駅の駅ビル)内、くまざわ書店を物色中にみつけた一書です。

無私の日本人 (文春文庫)

無私の日本人 (文春文庫)

 

手に取ったのは、現在公開中の映画「殿、利息でござる」の原作が収録されているから。じつはこのお話は宮城県大和町で起こった実話です。宮城在住民としてとても興味が湧いたので手に取りました。

映画『殿、利息でござる!』予告編

 

【こういう人におすすめ】

・映画「殿、利息でござる」に興味がある人・映画を見たけどもっと詳しくお話を知りたい人・江戸時代の町民の生きざまを知りたい人

 

【あらすじ】

貧しい宿場町の行く末を心底から憂う商人・穀田屋十三郎が同志と出会い、心願成就のためには自らの破産も一家離散も辞さない決意を固めた時、奇跡への道は開かれた―無名の、ふつうの江戸人に宿っていた深い哲学と、中根東里、大田垣蓮月ら三人の生きざまを通して「日本人の幸福」を発見した感動の傑作評伝。

 

 【感想】

・久しぶりに「先が気になってページが進む」感覚で本を読めました。主人公の穀田屋十三郎たちが願業を本当に実現して貧しい吉岡宿を救うことができるのか!?とハラハラしながら先が気になって、どんどん読み進めてしまいました。

 

・穀田屋十三郎や菅原屋(町を救う具体案を発案したアイデアマン)の、町の行く末を想う心根がとてつもなく純粋でキレイだと思いました。混じりけのない透き通った水のような。自分だけ(家族や家業)ではなく、他人(町全体)の心配をしているわけで。江戸時代の人たちはこういった感覚を持って日々生きてたの?って考えると、現代で自分のことでせいいっぱいな私・・って少し恥ずかしくなりました。

 

・作中、ところどころに作者による語句や時代背景の説明がわかりやすく入るので、登場人物たちの考え方や行動の動機づけがよく理解できる気がしました。(参勤交代や村の仕組みなど)

 

・お話最後のほう、「人に与え続ける人」(穀田屋甚内)と「自分の利益だけを考える人」(早坂屋)の対比がでてきました。最終的には甚内という判断になるのでしょうが、早坂屋も家業や家族を守る必死さを抱えており、作中で作者は一定の理解を示しているように感じました。でも、それをはるかに凌駕するすごさで穀田屋甚内の困っている人々への「与え方・尽くし方」は輝いてみえる。そして最終的には貧乏人だけでなくより多くの人々の信頼を勝ち得て仙台藩主の殿様に認められるという栄光も手にする。この生きざまは強く強く心に残りました。甚内が言った「金は人が生きるためにある。苦しいときは、おたがいさま」は名言だと思います。

 

・穀田屋十三郎のお話以外に、「中根東里」と「大田垣蓮月」のお話も収録されています。この二人の生きざまは穀田屋十三郎より壮大でドラマティックです!日本にこんなに地道にすごいことやってた人がいたのか~と。歴史に埋もれたこういった人物を見つけて世に広めようとした作者の努力に敬意を表します。

 

自分が自分が・・と守りに入って身構えすぎたとき、この三人の生き様を思い出せば、背筋を伸ばして襟を正したくなる、他人や世の中と向き合う勇気を少しもらえる、そんな清い風が吹くような本でした。多くの人に手をとってほしい一冊です。

 

磯田道史さんの著作

武士の家計簿はすでに映画化されてますよね。

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)

 

 

 これは防災を考える上でとてもよいかもしれない!

 

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musa