猫背的事務員musaのゆる~い読書記録

仙台在住musaの、大好きな読書と本にまつわる日々の記録です

「鳥たち」よしもとばなな を読んで人生に大切なことをまた一つ確信した

鳥たち

 

大好きな、よしもとばななさんの本「鳥たち」を読了しました。

表紙のカラフルなこと!

 

鳥たち

鳥たち

 

 

【あらすじ】
それぞれの母親を自殺によって相次いで失った「まこ」と「嵯峨」。
二家族が共同生活をしていたアリゾナから日本に帰国して、まこは学校へ通い、
嵯峨はパンを作りながら、お互いの存在だけを支えに暮らしはじめる。
ヒッピーだった母親たちと、失われた美しい暮らし。まこは、住んでいた土地の
イメージや死をめぐる悪夢に夜ごとさいなまれる。しかし、日常生活やさまざまな人との
対話を通じて、ふたりはゆっくりゆっくり、死と孤独の淵から抜け出す光を見つけていく――。

amazon商品紹介より)

 

 

一番強く感じたテーマが

「自分の人生の主人公は自分。人生を自分に取り戻そう」

ということです。

 

まこは嵯峨との間に赤ちゃんを授かることを強く望んでいます。

でも、その突き上げる欲求の意味をまこ自身が違和感を感じているのも確かで。

「(自殺した)親たちの生まれ変わりを生みたいのかも」

「昔、アリゾナでみんなと暮らした、チームだった日々を復活させたいのかも」

と思ってるフシがある。

 

それらはどれも、

「母親を死に追いやったのは自分かもしれない」

「何か親たちのためにもっとできることがあったのかもしれない」

という、親たちに対する罪悪感が

赤ちゃんを望ませているのかもしれないな、と思いました。

 

そんな鬱屈とした思いを抱えるまこに、大学のゼミの教授が語りかけたことが、

「人生を自分に取り戻していいんだよ。自分(や嵯峨)の人生に誇りを持って生きていい。その価値が君たちにはあるんだよ」

ということ。

これはまこへの語りかけですが、

ばななさんが読者の私たちにそっと語りかけてくれてるような、

そして、心に希望の灯りをぽわんと灯してくれたような

あったかい気持ちになりました。

 

両親がいないまこにとって、

親代わりのアドバイスをくれる大人(教授)の存在がどれほど心強いだろうか。

こんな人と巡り合えるのは幸運だし、

でも、もはや巡り合うべくして会ってるのかもしれないなとも不思議に思います。

 

まこが教授にそう言われて少し肩の荷が降りたように、

私もそうだよな・そうだよな~と

自分の心にある考えをまた一つ上塗りすることができました。

 

やりたくないのに義務感からやっている事。つきあい。関係性。

人への罪悪感から人生の選択肢を選んでしまっていること。

 

気づけば私もそういう類のことに多い引っかかってきたんだなぁ、と。

それらは全て意味があるんだろうし、これからの人生の糧にはなってるはず。

でも、これからは、自分の本当の望みを自覚して、

一つでも二つでも叶えていく人生にしていきたい。

直面する選択肢に対して、自分が本当に嬉しい!喜び!と思える方を

選んでいきたいです。

 

物語の全編を貫く、生死にまつわる祈りや静謐さに包まれながら、

また一つ自分を(精神的に)アップデートしたような気がします。

 

グレーの曇り空から、ぽわんとした黄色の光が少しずつ差し込む空へ。

そんなイメージを持った本でした。

 

 

musaが一番すきなよしもとばななさんの本↓

イルカ (文春文庫)

イルカ (文春文庫)

 

 

 ☆★☆

musa

「奇想、天を動かす」島田荘司 を読んでサハリン棄民を初めて知った

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伊坂幸太郎さんの随筆集3652―伊坂幸太郎エッセイ集 に載っていた

リコメンド本の一冊です。

 

奇想、天を動かす (光文社文庫)

奇想、天を動かす (光文社文庫)

 

 

この本を図書館から借りてきて手に取った第一印象。

「とにかく表紙が不気味すぎる」 でした。
だって、ピエロ?が顔だけ雪の中に埋まっているんですもん。

 

何かとてつもないオーラを感じながらも読み始めたのですが
とても深く広く長く重いお話、そして謎と推理は超一級で
あっというまに読み終えました。

 

 

前半は過去へさかのぼるにつれて「現実にはありえないでしょう?」
っていうファンタジーみたいな事件がいくつも出てきます。
その事件の真相を知りたくてどんどん読み進めてしまいました。


当たり前ですが、どれも夢ではなく現実(小説の中で)だったんですよね。
謎を解いてくれる吉木刑事の話を読みながら、目から鱗が落ちまくりました。

 

 

これは少しネタバレになりますが、

特に印象に残っているのが「白い巨人」が発生した事故のシーンとその後。
列車に居合わせた徳大寺機関士は、その事件のち精神を病んでしまいます。
でも最後の最後に白い巨人と事故現場で再会します。

 

実際は白い巨人なんていなくて種明かしがあるんですが、
何年もその事件によって苦しめられてきた徳大寺機関士が、
その後どう生きることになったのか、なぜかとても気になるのです。
作中に出てくる物語「白い巨人」もなんだか幻想的で童話のようです。

 

 

後半、物語がとても重苦しさを増してきます。
事件の真相がわかってくるにつれ、ただの殺人事件ではなく
朝鮮人強制連行」「サハリン棄民」という
第二次大戦中・戦後日本に関わる問題に関わっていることがわかってきます。

 

正直、軽々しく感想を書くのは難しい問題だと思います。

今回、この小説を読んで私は初めて「サハリン棄民」という事実を知りました。

とても重い事実ですが、戦中戦後にこういう事実があったことは

日本人として知っていることは大切だと思います。

 

歴史事実に対する意見・評論はさまざまあるにしても、

知らないのと知っているのでは大違いだと思うから。

 

写真記録 樺太棄民―残された韓国・朝鮮人の証言

写真記録 樺太棄民―残された韓国・朝鮮人の証言

 

 

我が家は韓国とも縁があるので、とても他人事とは思えず

胸に迫る箇所もたくさんありました。

 

何より、島田荘司さんが小説という形で

サハリン棄民の韓国人の人を取り上げたことに

強い責任感のような、見守る温かさのようなものを感じました。

 

ありがとう、島田さん。(と、なんとなく御礼を言いたい)

まだ島田荘司作品2作目ですが、次々読みますから!

どうぞこれからもお世話になります。

私をびっくりさせてください~!

 

↓記念すべきmusa初めての島田作品「北の夕鶴2/3の殺人」

北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫)

北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫)

 

 

☆★☆
musa

「新幹線お掃除の天使たち」遠藤功 を読んで改めて鉄子を実感した

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 電車や新幹線のフォルムの美しさにいつも目がくぎづけになります。運転士さんの、カッコいいデザインの制服を着てホームで電車を待つ姿も好き。駅の改札やホームで家族や恋人たちが再会したり別れたりする模様も見てて胸がきゅんとなる。ホームで電光掲示板を不安そうに見上げるおじいちゃんおばあちゃんの心もとなさ。電車が入線してくるワクワク感。発車メロディが鳴って電車がゆるゆると発車してホームからいなくなったあとのなんとも言えない虚しい感じ。そういった、駅と電車をとりまく全てが心から好きです。

ようは私、鉄子なんですね!笑


その中でも、東京駅のホームに新幹線が到着する時、一礼しながら迎えてくれる作業着を着た人たちを初めて見た時、なんだか泣きそうになったことを今でも覚えている。あれはたぶん大学の時。地元へ帰省するために上越新幹線に乗る時。それがテッセイの車両清掃スタッフの方達でした。なんて礼儀正しく清々しい人たちなんだろう!と密かにファンになった私は、東京駅で新幹線に乗るたびにテッセイの皆さんを目で探してその姿を拝見していました。

 

今回読んだ本「新幹線お掃除の天使たち」を知ったのは最近ネット徘徊中見つけたビジネス系記事だったと思う。あの東京駅の礼儀正しい掃除のおじさんおばさんのことだ!と思って嬉しくなって本を借りていました。

 

新幹線お掃除の天使たち 「世界一の現場力」はどう生まれたか?

新幹線お掃除の天使たち 「世界一の現場力」はどう生まれたか?

 

 

内容は2部構成です。

第一部では、この本のきっかけとなった「エンジェル・リポート」(現場でコツコツと頑張っている人たちを、現場の上司や仲間たちが褒める仕組み)の代表的なストーリーを何本か紹介している。テッセイの日常の現場で起きていること、テッセイのスタッフとお客さまたちとの交流など、「ちょっと素敵な話」を紹介。

第二部では、これほど注目されるテッセイという会社がどのように誕生したのかをひもといて紹介。「お掃除の天使たち」が生まれてくるまでの会社としての取り組みを、時の流れに沿って紹介している。

P7 はじめにより

 

そもそもテッセイという会社とは?

株式会社JR東日本テクノハートTESSEI

テッセイは旧国鉄時代の昭和27年に設立されたJR東日本のグループ会社。JR東日本が運行する東北・上越などの新幹線の車両清掃、東京駅・上野駅の新幹線駅構内の清掃などを主な業務とする会社です。

p3 はじめにより

 

くしくも東京へ向かう新幹線の中で読み進めました。 

 

現場の生の声であるエンジェルリポートを読んで、新幹線が到着して折り返し運転出発までの7分間(たったの7分!)の間に、スピーディに清掃業務をこなしながらいくつもの気配りを重ねてくださっていることを知りました。読んでいて涙が出そうになった場面も。(特に、リポートNo6「がんばるぞ!日本」の項。東日本大震災発生後の汚れた東北新幹線をキレイにしてくださった話にじーんときた)

 

一番強く感じたのは、「陰徳陽報の人は美しい」ということ。陰徳陽報とは、「陰徳あれば必ず陽報ありとは、人知れずよい行いをする者には、必ずよい報いがある」という意味。清掃という、端から見ても目立たない影の仕事に黙々と徹している。しかもテキパキ・スピーディに取り組んでいる。その姿は見ている私たち次の乗客になんともいえない清々しさを感じさせてくれます。スタッフの皆さんによい報いがどのような形で来ているのか、細かくはわからないけれど、この本に書かれているスタッフの皆さんの「業務を通して自身が成長できた」「お客様からこんな声をかけてもらって嬉しかった」というエンジェルレポートの声は陽報ともいうべき輝きでしょう。

なんだかテッセイのスタッフの皆さんは蓮の花みたいだなと思う。汚れた泥水の中から美しい花を咲かせてくれる。まさにそんな姿を彷彿とさせます。

 

そしてビジネス書という観点では、「一人立つリーダー(矢部輝夫さん)」がいたからテッセイという会社がここまで評価される状況に至ったということではないでしょうか。世間から注目される前のテッセイは、可もなく不可もないJRの子会社というレベルだったそうです。

早速、現場を回ってみると、スタッフの人たちはとても真面目。与えられた仕事はきちんとやります。でも、見方を変えれば、それ以上のことはやらないし、求められてもいない。職場にも今ひとつ活気がありません。「自分たちはしょせん清掃員」という意識がどんよりと蔓延しているように見えました。

さらに、現場と経営陣との距離がとても遠い。経営陣が何を考え、会社をどのようにしたいと思っているのか、現場のスタッフにはまったく伝わっていません。

「一体感がないな・・・」矢部さんは強く感じました。

p137 第二部より

 この状況から、矢部さんを中心に様々な変革を打ち出し実行していきます。組織を変え、人事制度を変え、経営テーマを打ち出しそれを現場レベルに落とし込んでいく。初めは戸惑いながらも、だんだん現場からの変革のムーブメントが巻き起こっていったそうです。小集団活動や提案活動で現場の小さな気づきからどんどん業務改善が進んでいきました。 月並みな感想ですが、改めて、変革はどんな分野であれ、強き意志を持った行動する人が一人立てば、すべて変わっていくことを確認できました。

 

最後に、著者がおわりにで書いていた、

「(現場への)リスペクト」そして「(現場の)プライド」があること。

どんな会社や団体でもこの法則は有効なのでしょう。

強い現場、輝く現場に共通するのは、自主性、自発性、自律性です。これらを生み出し、定着させるために不可欠な要素が、リスペクトとプライドなのです。この二つがお互いに影響を及ぼし合い、好循環を生み出したとき、「普通の会社」は「キラキラ輝く普通の会社」へと変身するのです。

p188  おわりにより

  

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いつも思う。東京駅のホームで見かけるテッセイの皆さんを見かけて泣きそうになるたびに、心の中で「ありがとうございます」 と呟いていることを。でも、今度東京駅に行った時は声に出して伝えてみていいかもしれない。いつもありがとう!って。勇気が出せたら言ってみたい気もする。

 

↓テッセイの公式twitter ちりとり かわいいww

 

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musa

【読了】「持たない幸福論」pha

元・日本一有名な二-ト、phaさんの本「持たない幸福論」を読了しました。

どこでphaさんを知ったのか忘れてしまったけど、

なんてとびぬけた生き方をしてるんだろう!

そしてそれを世間に披露しちゃうんだ、びっくりな人だな!と

とにかく驚いた記憶があります。

読み進め中はとにかく「納得」「共感」の嵐でした。 

 

 

【感想】

・(自分の)居場所の作り方10ヶ条がとても参考になりました。  

第四章 居場所の作り方

1. 複数の場所に顔を出す

2. 合わない人とは棲み分けをする

3. 人の流動性を保つ

4. ゆるさを保つ

5. 自分が主催者になる

6. 空間(ハコ)をキープする

7. 用がなくても気軽に集まれるといい

8. みんなで一緒にすることがあるといい

9. 人の悪口はほどほどにする

10. 滅びたらまた新しいのを作ればいい

新著『持たない幸福論』が発売になりました - phaの日記

私にとっての居場所ってどこだろう?と考えながらこの章を読んでいました。

今の旦那さんとの家庭や職場、実家の家族は思いつくけれど、

それだけじゃぁ何か足りないなぁと日々感じています。

特に「1. 複数の場所に顔を出す」って妙案だなぁ!と。

一つの場所に依存すると、お互い疲れてしまうんですよね。(特に家庭)

ほどよく依存を分散させたいので、ここは今後も考えつつ構築していきたいところ。

 

・phaさんの文章は、「押し付けがましくない」ところが心地よく感じました。

自分の生き方を「こういう例もあるんだよ」と提示しつつ、「必ずしも真似しなくてもいいよ」とやんわり断っておく具合が絶妙だと思います。 

 

・体力がないからニート的生き方(引きこもり気味、定職につかない)がしっくりくる、という一文に、うちの旦那さんのことだ!と閃きました。確かに彼も体力がなくてすぐ疲れてしまい横たわってはゲームやマンガをみて癒されるタイプ。

 逆に私は体力(持久力)有り余ってしまう感覚があって、エネルギーを持て余しているから色々外に出てみたりしたくなっちゃうタイプ。そして極め付けが「人間がするたいていのことは”ひまつぶし”」という一文。そういう感覚はあったけれど、ぴたりとはまる言葉がこれだったかぁ~と開眼しました。決してネガティブには捉えていません。前向きに今後もいろんな”ひまつぶし”を楽しんでいこうと思っています。

 

◎取り入れたいなぁと思ったところ。

・家族手でも仕事でもない、自分の居場所を複数作る(リアルでも、ネットでもいい)

・やりたくない事(仕事、その他の活動、人とのつながり)はやめてもいい

・お金をかけなくても暇はつぶせる(これは今でも図書館メインで実践中)

・複数の住拠点を持つ(phaさんの場合は東京ー熊野。私なら仙台ー地元とか)

・旦那さんとずっと一緒にいなきゃいけない、という縛りを外す。家族であっても人との関わり方は流動的でいい。自分にとっての「良い」と思える条件をその時々で判断していっていい。

 

これからの生き方を考える上でとっても参考になった本でした。

phaさん、とにかく生き方がある意味ゆるいけどしっかり芯がありますよね、

っていうベタなシメの言葉しか思いつかない。ごめんなさい!

 

 

phaさんの最新刊↓  

しないことリスト

しないことリスト

 

 

 伊藤洋志さんphaさんの共著。これも読んでみたいなぁ↓

フルサトをつくる 帰れば食うに困らない場所を持つ暮らし方

フルサトをつくる 帰れば食うに困らない場所を持つ暮らし方

 

 

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musa

【読了】「無私の日本人」磯田道史

 エスパル仙台(仙台駅の駅ビル)内、くまざわ書店を物色中にみつけた一書です。

無私の日本人 (文春文庫)

無私の日本人 (文春文庫)

 

手に取ったのは、現在公開中の映画「殿、利息でござる」の原作が収録されているから。じつはこのお話は宮城県大和町で起こった実話です。宮城在住民としてとても興味が湧いたので手に取りました。

映画『殿、利息でござる!』予告編

 

【こういう人におすすめ】

・映画「殿、利息でござる」に興味がある人・映画を見たけどもっと詳しくお話を知りたい人・江戸時代の町民の生きざまを知りたい人

 

【あらすじ】

貧しい宿場町の行く末を心底から憂う商人・穀田屋十三郎が同志と出会い、心願成就のためには自らの破産も一家離散も辞さない決意を固めた時、奇跡への道は開かれた―無名の、ふつうの江戸人に宿っていた深い哲学と、中根東里、大田垣蓮月ら三人の生きざまを通して「日本人の幸福」を発見した感動の傑作評伝。

 

 【感想】

・久しぶりに「先が気になってページが進む」感覚で本を読めました。主人公の穀田屋十三郎たちが願業を本当に実現して貧しい吉岡宿を救うことができるのか!?とハラハラしながら先が気になって、どんどん読み進めてしまいました。

 

・穀田屋十三郎や菅原屋(町を救う具体案を発案したアイデアマン)の、町の行く末を想う心根がとてつもなく純粋でキレイだと思いました。混じりけのない透き通った水のような。自分だけ(家族や家業)ではなく、他人(町全体)の心配をしているわけで。江戸時代の人たちはこういった感覚を持って日々生きてたの?って考えると、現代で自分のことでせいいっぱいな私・・って少し恥ずかしくなりました。

 

・作中、ところどころに作者による語句や時代背景の説明がわかりやすく入るので、登場人物たちの考え方や行動の動機づけがよく理解できる気がしました。(参勤交代や村の仕組みなど)

 

・お話最後のほう、「人に与え続ける人」(穀田屋甚内)と「自分の利益だけを考える人」(早坂屋)の対比がでてきました。最終的には甚内という判断になるのでしょうが、早坂屋も家業や家族を守る必死さを抱えており、作中で作者は一定の理解を示しているように感じました。でも、それをはるかに凌駕するすごさで穀田屋甚内の困っている人々への「与え方・尽くし方」は輝いてみえる。そして最終的には貧乏人だけでなくより多くの人々の信頼を勝ち得て仙台藩主の殿様に認められるという栄光も手にする。この生きざまは強く強く心に残りました。甚内が言った「金は人が生きるためにある。苦しいときは、おたがいさま」は名言だと思います。

 

・穀田屋十三郎のお話以外に、「中根東里」と「大田垣蓮月」のお話も収録されています。この二人の生きざまは穀田屋十三郎より壮大でドラマティックです!日本にこんなに地道にすごいことやってた人がいたのか~と。歴史に埋もれたこういった人物を見つけて世に広めようとした作者の努力に敬意を表します。

 

自分が自分が・・と守りに入って身構えすぎたとき、この三人の生き様を思い出せば、背筋を伸ばして襟を正したくなる、他人や世の中と向き合う勇気を少しもらえる、そんな清い風が吹くような本でした。多くの人に手をとってほしい一冊です。

 

磯田道史さんの著作

武士の家計簿はすでに映画化されてますよね。

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)

 

 

 これは防災を考える上でとてもよいかもしれない!

 

☆★☆

musa

 

【読了】「GOSICK PINK」桜庭一樹

大大大だいっすきな、桜庭一樹さんのGOSICKシリーズ最新作、

GOSICK PINK」を読了しました!

GOSICK PINK

GOSICK PINK

 

 ツンデレで訳ありお嬢様・ヴィクトリカと、

その友達(今は旦那)である東洋の島国出身・久城一弥が起こす

謎解きミステリーかつ、淡い友情と恋の物語等々を描くGOSICKシリーズ。

世界大戦後の新大陸での二人の活躍を描く新シリーズ3作目です。

 

ヴィクトリカツンデレだけど頭が良くて絶世の美しさを持つ少女、っていう設定がすごく好きでずっとシリーズ読み続けています!

久しぶりにヴィクトリカや久城と再会できて嬉しいったらありゃしないです

 

【こういう人におすすめ】

 ・ツンデレキャラがが好きな人・謎解きやミステリーが好きな人・淡い恋バナが好きな人・フリフリのドレスが好きな人

 

【あらすじ】amazonより抜粋

新大陸に到着し、一弥の姉・瑠璃の家に身を寄せたヴィクトリカと一弥。自分たちの家と仕事を得るために張り切る一弥は、ヴィクトリカとともにさっそくN.Y.の街中へ。あらゆる人種に喧騒―新世界の謎とも言うべき不可解な人々の暮らしが広がる街で、ふと目を離すとヴィクトリカの姿が忽然と消えていた。一弥がヴィクトリカを探しニューヨーク中を走り回る一方、ヴィクトリカは思わぬ人物と出会う。助力を請われ、戦時中に起きた未解決事件“クリスマス休戦殺人事件”の謎を解くことになるが…。ヴィクトリカの超頭脳“知恵の泉”が導き出した驚きの真実と、依頼人の正体とは!?大人気新シリーズ第三弾!

 

【感想】

・まず表紙のデザインとピンク色のビビッドさが素敵です。第一印象で惹きつけられましたー!

 

・新大陸編第1弾のRED、第2弾のBLUE、第3弾のPINKときてますが、時系列が行ったり来たりしてます(たぶん)。

1・RED)探偵事務所を始めて落ち着いた頃→2・BLUE)新大陸に到着した日→3・PINK)到着した翌日 という流れ。個人的には初めて読む方はREDから読むことをお勧めします。

 

旧大陸編もそうですが、GOSICKシリーズは【世界大戦】という悲しい出来事をベースにしています。でも、今回のPINKでは世界大戦後のお話でもあり、暗い過去があっても未来は良く変わっていける!という希望の姿をお話の随所に散りばめてあるように感じました。そういう【闇と光】をうまく組み合わせてあるところがいつも絶妙だと思うのです。

 

・作中に出てくる、歌の歌詞を1ページ使って載せているところがとても印象的でした。ページの中に余白を多く作ることで時間の流れが少しスローモーションになった気がしました。

 

ヴィクトリカといえばフリフリドレスが定番ですが、今回は瑠璃(久城のお姉さん)の浴衣を借りて着ているシーンが何度か出てきました。ピンクの浴衣、、、絶対かわいいですよね!そして他国では【オリエンタルな民俗衣装】って表現になるのですね。。なるほど~。

 

・お話のラスト、自分の【ホーム(家)】の意味を知らずに育ったヴィクトリカが、その意味を少しずつ理解して自分なりの【ホーム】を育んでいこうとする姿がなんだかグッときました。ちょっとずつ人間として成長していくヴィクトリカのこれからが楽しみです。

 

・そしてそして、緑青(瑠璃の息子)が「うーー!」以外の言葉をしゃべるようになる時も楽しみです(笑)

 

 

新世界編第1弾 

GOSICK RED (単行本)

GOSICK RED (単行本)

 

 新世界編第2弾  

GOSICK BLUE

GOSICK BLUE

 

 

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musa

【読了】「狂骨の夢」京極夏彦※ネタバレ含みます

京極夏彦さんの狂骨の夢を読了しました。 

京極堂シリーズ第3弾です。

職場の方から「夜、寝るのも忘れて読んじゃうよ!!」と貸して頂いた一冊。

たしかに、最後のほうは寝るのも惜しくて一日24時間じゃ足りなかった。

そして、表紙がおどろおどろしくていまだ直視できません。笑

文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)

文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)

 

 

【こういう人におすすめ】

・髑髏や骨に興味がある人・分厚い小説を読み切る達成感を味わいたい人・精神分析フロイトに興味がある人

 

【あらすじ】amazonより抜粋

夫を四度殺した女、朱美。極度の強迫観念に脅える元精神科医、降旗。神を信じ得ぬ牧師、白丘。夢と現実の縺れに悩む三人の前に怪事件が続発する。海に漂う金色の髑髏、山中での集団自決。遊民・伊佐間、文士・関口、刑事・木場らも見守るなか、京極堂は憑物を落とせるのか?著者会心のシリーズ第三弾

 

【感想】※ネタバレ含みます

 ・髑髏を追いかけている勢力がまさか3ついるとは!いても1~2グループぐらいかなと予想しながら読んでいましたが、まさに予想を裏切られた~!また、その3者が行き違いあい、誤解しあい、騙しあいが繰り広げられていたとわかって、なんだか呆れちゃいました。でもそれだけみんなそれぞれに「信じるもの」があって、その為に骸骨に囚われていたわけですね。哀愁です。

 

・そしてまさか朱美が2人いた、ということにもびっくり。その後「あ~なるほどねえ」と自分の中で納得。。作中、朱美のしゃべり口調が微妙に違うなと感じていて多重人格なのかなと思ってたのですが、全く別人だったのですね。またまた裏をかかれました。

 

・信仰に迷える牧師・白丘に対して「信じること」について京極堂が言葉を放つシーンが、迷える私にもぐさっときました。 白丘さんの気持ち、なんかわかる気がする~。

「信仰と云うのはー」
「信じることです。解かることではない。彼等は信じていたのです」
「それが幸せだと云う人にとってはね。無理をすることはないのです。ただあなたにこんな遺物は無意味です。これを信ずる者が持ってこそ、この骨には意味がある」

 

・ようは「勘違いの連続」が合わさって多くの人を悩ませていた、ということなのでしょうか。京極堂が言うように、事実はただシンプルにそこにあったのに、人はその裏の意味を深読みしようとして悩んでしまう節があるようです(作中の元精神科医・降旗のように)。現実世界もそういう「勘違いの連続」でこじれてしまった出来事がたくさんありそうです。(旦那の浮気を疑う奥さんとか、職場で被害妄想感じてしまう人とか・・・)

 

・今回の登場人物で一番好きなキャラは「遊民・伊佐間(釣り堀屋)」でした。朱美さんのことをほんのわずかに好いてるところも可愛らしいというか。。ラストの朱美さんとの絡みのシーンはなんだか一幅の名画を見ているような気分になります!

 

京極堂シリーズのもう一つの楽しみが、毎巻に出てくる登場人物(京極堂、関口、木場、榎木津など)が次の巻にも出てくること。久しぶりに再会した地元の友人、みたいな感覚で読み進めてます。

 

・しっかし京極堂の憑き物落とし(謎解き)シーンは読んでいて本当に気持ちいです。そして先が気になりすぎてしょうがない!次の巻も読みたくなります。

 

今まで読んだ京極堂シリーズ

 第1弾  

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

 

 第2弾

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

 

 

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musa